匹見までのストーリー
初めは種子島へ移住し、林業を学んでいた本間さんですが、仕事中に怪我を負ってしまい、治療のために松戸へ戻ります。林業を本業とするのは難しいかもしれない。そう思っていた時に、『日本全国で唯一、島根県に半農半Xの方への補助金制度がある』というニュースをテレビで見て、半分だったら自分にも可能なのではないかと感じ、再挑戦を決意。さっそく都内のアンテナショップに相談に行くと、すぐに現地視察へ行くことになりました。その視察中に『地域おこし協力隊』の制度を教えてもらい、すぐに挑戦することに。後日、面接を受けて見事合格! こうして、匹見への移住が決まったのでした。
薪だけの生活
田舎暮らしをするなら、火のある生活を送ることは決めていた。という本間さんの家には、ガスコンロがない。あるのは七輪と立派な囲炉裏。三角屋根に一目惚れをして居住を決めたこの家に、昔々こたつとして使われていた囲炉裏が眠っていた。費用がかかるのは痛かったけれど、囲炉裏のある生活が送れるなんて思ってもみなかったので、思い切って修繕をした。不躾ながら、火を熾(おこ)すのは、めんどうではないかと尋ねると「そのめんどくささも含めて楽しんでます」と満面の笑みを浮かべた。それから「最近は、お湯だけ沸かす時なんかは、カセットコンロを使っちゃいますけどね。」とはにかんだ。
裏山に公園を整備中
2018年に地域おこし協力隊としての活動を終え、2019年からは自伐型林業を生業としている。現在は山に遊歩道をつくり、公園にする事業に3年計画で取り組んでおり、1年目は山を切り開いて道を作り、2年目からは道を伸ばすとともに公園として景観を整えていくそうだ。完成したら、ぜひ、散策をしたい。現在は事業の他に、地域のお手伝いとして主に草刈りをして収入を得ている。
想い描いていた生活
匹見の中でも、道川の冬の寒さは、特に厳しい。それでも、本間さんはストーブは買わない。囲炉裏の火が好きなのだ。山の整備のために切った木を炭にしてみようと、ドラム缶炭窯を購入したそうだ。まだ販売できるほどの量と質ではないけれど、自分で使うには充分な出来。炭が作れるようになったので、自家製のコタツを作ってみたら、予想以上に快適だったそうな。
本間さんの笑顔は、とても気持ちがいい。お気に入りの家に住み、憧れていた林業に関わりながら、自分スタイルの生活を楽しむ。想い描いていた生活を実現した、心からの笑顔なのだ。やってみたいと思ったら、とりあえずやってみる。ダメだったら止める。そんなトライアンドエラーを繰り返しながら、暮らしを楽しんでいる。