the HIKIMI

ワサビ谷Wasabi-dani

かつては「東の静岡、西の匹見」と称された、匹見ワサビ。作り手の高齢化により生産量は減少し、今では幻のワサビとなってしまいました。そんな希少なワサビが作られている、ワサビ谷にお邪魔しました。

幾度も水質日本一に選ばれた清流・高津川。その支流のひとつ、匹見川の原流域で、匹見ワサビは育てられています。広葉樹の豊かな森が蓄えた清らかで豊富な水と、生い茂る木々の木漏れ日がワサビ作りに最適な環境となっているのです。匹見のワサビ谷は、ほとんどが標高500m以上に位置しており、中には1時間以上歩いていく所も。ワサビは植え付けてから出荷できるまで約3年。大自然の恵みをじっくりと受け取った、素晴らしいワサビが育っています。

ワサビの植え付けは、まず石と土を堀り、ワサビを植える溝をつけます。次に、周辺にある石の苔をきれいに取り、並べて列をつくります。そこにワサビをそっと置き、流されないように小さめの石を重石にします。ひとつひとつ、一列ずつ、手作業で行います。

森を整備し、石を積み、水の流れを整え、ワサビを植える。丁寧に作業を積み重ねる、作り手の情熱とワサビへの想い。そして、自然の清らかさが、この美しいワサビ谷を作り上げています。